@misc{oai:suac.repo.nii.ac.jp:00001895, author = {稲川, 望}, month = {2023-03-31, 2023-03-30}, note = {2022, PDF, 本研究の目的は、バングラデシュで2013年に発生したシャハバグ運動において、ベンガル民族主義が回帰した背景を明らかにすることである。これまで、バングラデシュのナショナリズムに関しては、ベンガル民族主義とイスラムの2つが存在していると指摘されてきた。また近年では、イスラムに基づく慣習や価値観が政治の場において強調される潮流が指摘されてきた。そのため本研究では、バングラデシュにおいてベンガル民族主義が回帰する事例に着目し、その背景に存在する要因を分析することを主眼に置く。  そこで、本研究ではイギリス植民地時代まで遡り、ベンガル民族主義とイスラムの両者がそれぞれいかなる形で人々の間に根付いているかを確認する。第3章では、イギリス植民地時代から、バングラデシュ独立までの期間を対象にする。そこでは、イギリス植民地から独立する際に、ベンガル民族主義に基づく国家構想と、イスラムを紐帯とするパキスタンとしての独立構想の両者が存在し、結果的に取り込まれるようにパキスタンとして独立した経緯が明らかになる。バングラデシュ独立後は、建国時に掲げたベンガル民族主義に反し、徐々に政治におけるイスラム主義の台頭が顕著になる。農村を中心とした票田確保や、野党の弱体化を目論む政策、さらには隣国インドとの関係が複雑に絡み合い、イスラムを国民統合と政党運動のツールとして利用する動きが高まる。  しかしその後、2013年に戦争犯罪者の処刑を求める全国的なデモが発生した。この出来事を通して、国民は再びベンガル民族主義に回帰した。本研究では、2013年に発生した全国的なデモの抗議内容やその手法、またデモを行う際に象徴的に掲げられた女性が持つ役割に焦点をあて、ベンガル民族主義の回帰がいかなる形でなされたかを分析する。分析にあたっては、林(2022)が提示した「犠牲者意識ナショナリズム」を理論枠組みに適用した。 分析の結果、「過去の歴史と現在に生きる人々に連続性がもたらされたこと」および「民族のために命を捧げた数多くの犠牲者」の存在が、ベンガル民族主義の回帰を後押しする要素であったことが明らかとなった。特に後者は、デモの際に掲げられた女性が持つ大きな特徴であった。  一方でバングラデシュにおいては、ベンガル民族主義もイスラム主義のどちらに関しても、政党の駆け引きや運動の道具として利用される側面が存在する。そのため、バングラデシュのベンガル民族主義を理解するには、各政権の具体的な政策を踏まえた国内政治の潮流の把握と、インドを中心とした近隣国との外交関係を鑑みることが求められる。, 修士(文化政策), 静岡文化芸術大学}, title = {バングラデシュのナショナル・アイデンティティ形成}, year = {} }