@techreport{oai:suac.repo.nii.ac.jp:00000972, author = {四方田, 雅史 and YOMODA, Masafumi}, month = {2013, 2015-06-10}, note = {文化政策研究科長特別研究費, 産業遺産の保全・利活用の動きは、イギリス・ドイツ・ベルギーなどの先進国で発展してきた。しかし、現在、UNESCOやEUの動きもあって、産業遺産を重視し保全・利活用・観光資源化する動きは国境を超え、中進国・途上国・旧社会主義国にも広がりつつある。その中で特に活発であるのが旧東欧地域である。とりわけ中世から鉱山開発が始まり、19世紀末から重工業化も進み、社会主義時台にも工業国として東側の国際分業に組み込まれた旧東ドイツ・ポーランド・チェコである。  当該地域は、近世の相次ぐ国境線変更により、揺らぐ国家の中で産業遺産が位置づけられるという西欧にない特徴を持っている。これらの国では、産業遺産が国家の誇りとして位置づけられる一方、産業遺産の背景には、中世の農奴制や強制労働、ナチスによる占領、社会主義など、「負の記憶」「負の歴史」を背負っている。このような鋼材をいかに展示するかは、産業遺産の利活用の点でも重要な課題になっている。それは、強制労働や戦争・鉱山の事故など負の歴史を持つ日本にとっても参考になる。  このように西欧・日本など先進国を中止にして研究されてきた産業遺産の保全と利活用の試みを、それ以外の旧東欧やアジアなどに課長しつつ、比較を通じて、その間にある異同について明らかにすることは、本件旧の重要な目的であると考えられる。, 本研究は、旧東欧、特にポーランド・チェコを事例に、まず産業遺産の保全・利活用・観光資源化の現状を現地に赴いて研究し、その後、それを日本・西欧の試みと比較し位置づける方法を採用した。, たとえばポーランドでは、ヴェリチカ岩塩坑、クラクフ、繊維産業で栄えたウッジの試みなどが代表的試みとしてあげられる。クラクフは歴史的街並みで有名であるが、近代化産業遺産を軸とした観光振興も進めており、ユダヤ人虐殺の歴史も背負っていることも考慮して研究することができる。ウッジもユダヤ資本など外資を通じて繊維産業を中心とした発展を遂げた都市であるが、その産業遺産を複雑なポーランド史の中に位置づけ、その保全や利活用を位置付けるか、検討する。, 最後にチェコではオストラヴァを代表的事例として挙げることができる。この地域では、鉱山・製鉄所の複合体を産業遺産のネットワークとして観光振興や中心部振興などにつなげようとしている。独立前、独立国家の時代、そしてナチス占領や社会主義化など、チェコの複雑な歴史をいかに展示や利活用に反映させているのか、西欧にない研究となることが期待される。, 以上を事例に、その複雑な歴史を考慮しながら、研究が進む西欧・日本、そしてアジアとの比較を行うことにより、多様な産業遺産利活用のあり方を浮き彫りにし、これまで遺産・文化財の基礎となってきた国民国家という枠組み自体を相対化する知恵を得たい。, ポーランドとチェコに関する産業遺産を取り巻く環境が、西欧や日本などの先進国における状況と異なっていることが、論文・報告書等を使い、明らかにすることができた。具体的に言えば、西欧の産業遺産保全・利活用の動きを受けつつも、逆にその遺産が持つ歴史は西欧・日本より複雑であり、国民国家を持たなかった時代やナチスや社会主義時代の負の歴史としての価値や、少なくともアンビバレントな評価にさらされている現状も明らかにできたと言える。, しかし、他方で産業遺産(たとえばウッジのManufakturaやヴィエリチカ岩塩坑、オストラヴァの炭鉱・製鉄所・労働者住宅群)を使った観光資源化・利活用には、西欧の影響を受けつつも、革新的・個性的な試みも行われており、西欧を中心とした研究動向に一石を投じる意義もあったと考えられる。西欧と同様に、体制転換以降、重工業衰退に直面したチェコ・ポーランドにとって、それが残した産業遺産の利活用を起爆剤にして地域振興、まちづくりに活用するという日本・西欧とも共通した動きも観察することができた。このように、比較を通じてその異同を明らかにすることができた。, 最後に、研究科、そして学部においてその画像や研究成果を教材として取り上げることにより、最先端の研究と教育を結び付け、教育を向上させる効果も発揮されたと言える。, PDF, 25-16}, title = {旧東欧地域における産業遺産の保全と利活用に関する研究}, year = {} }